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オムニチャネルで成功しているリテーラーのDevOpsを学ぶ

投稿:2017年12月26日   |    更新:2022年3月9日

ウォルマートのようなリテーラー( 小売業者)の増加に伴い、eコマースとリテーラーの間の戦いが収束しつつあり、Amazonのようなeコマース企業の多くはオフラインでのプレゼンスを確立しています。この2方向の展開をサポートするため、リテーラーとeコマース企業は、優れたオムニチャネルカスタマーエクスペリエンスを提供することを目指しています。

リテールの世界のオムニチャネル

顧客は、店舗内、Webサイト内、モバイルアプリ内、またはソーシャルメディア内の全チャンネルでシームレスな体験ができると期待しています。世界最先端のリテールブランドはトレンドに乗っており、たくさん成功事例があります。以下は、オムニチャネルのリテール体験を提供しているブランドの好例です:

  • ディズニー:ディズニーランドでの休暇を計画するのは大変です。しかし、ディズニーのWebサイトやモバイルアプリのおかげで、レストランや観光スポットなど、休暇全体をオンラインで計画することができます。また、各アトラクションの待ち時間を知ることもできます。

  • スターバックス:スターバックスの特典カードを使えば、コーヒー代でキャッシュを使い切ることはありません。モバイルデバイスから簡単に特典カードを取り出して、いつでもカウンターで使えます。

  • ノードストローム:ノードストロームは、顧客がiPhoneアプリで行う注文を店内のスタッフが補助することで、優れたカスタマーエクスペリエンスを提供しています。各スタッフはアイテムの在庫を確認でき、特定のアイテムが在庫切れの場合、すぐにiPhoneで予約して顧客の家に届けることができます。顧客はオンラインで商品を購入して店頭で持ち帰ることもでき、返品も簡単です。

これらのチャネルでのエクスペリエンスをサポートするためには、深くよく統合されたバックエンドと、一貫したフロントエンドインタフェースが必要です。しかし、これは以前よりもずっと簡単になりました。従来のインフラストラクチャ、ツール利用、そして開発プロセスを放棄して、リテールアプリケーションを構築するための最新のDevOpsアプローチに移行すればよいのです。顧客は絶えず新しい機能や体験を求めており、そのために頻繁になる更新は、安定性を損なうことなくアジャイルさと正確さを最大化する方法で展開する必要があります。これは、デジタルチャネルと物理チャネルをシームレスに統合したエクスペリエンスを構築するために不可欠です。何千もの日常的なやりとりは破綻を生じやすく、また、人気ブランドはサイバー攻撃の目標とされやすいです。何百万人ものユーザーをサポートするためには堅牢なシステムが必要です。システムの可用性とセキュリティを確保する必要があります。これは簡単な仕事ではありません。

いかにしてDevOpsチームがオムニチャンネルリテーラーをサポートするか

インフラストラクチャ層から始めて、アプリケーションスタックまで移動し、オムニチャネルのリテールアプリケーションを構築する際に、DevOpsチームが留意べきことを理解しましょう。

クラウドに移行する

モバイルは、オムニチャンネルのリテールを考える際に最も重要なメディアです。これは、顧客にアプローチする最も個人的かつ強力なチャネルです。どこにいても、お客はあなたの会社とやりとりして、都合のいいときに買うことができます。しかし、ほとんどのリテールアプリは、過去に使われていたクライアントサーバモデルをベースにしていて、現代の最先端の消費者をサポートすることはできません。複数のデバイスやモバイルオペレーティングシステム用のアプリケーションを構築するには、クラウドテクノロジーを活用する必要があります。しかし、いくつかのクラウドツールをあなたのレガシーなスタックに投入するだけでは足りません。AWS EC2などのクラウドサーバでアプリケーションを実行したり、AWS S3などのブロックストレージにデータを格納したり、Sauce Labsなどのクラウドベースのテストプラットフォームを使ったり、Prometheusなどのクラウドネイティブな監視ツールを使ったりする場合は、全システムをクラウドで稼働させるか、少なくともそこへの移行を開始しなければなりません。

マイクロサービスモデルにゆっくりと移行する

マイクロサービスは、単一のモノリシックなアプリケーションを、小規模なクロスファンクショナルチームによって開発・管理される小さなサービスに分解するアプローチです。このタイプの複合型のシステムにより、新しい機能をより早くリリースできます。さらに、あるサービスに障害が発生しても、システム全体をダウンさせることはありません。しかし、マイクロサービスへの移行は、一度に1ステップで行う必要があります。最初のバッチが安定した後に、いくつかの機能を切り分けてください。マイクロサービスアプリは、従来のツールセットを使用する場合に限り、管理が難しくなります。幸いにも、DockerやKubernetesのようなコンテナ技術は、マイクロサービスの管理を容易にしています。

VMからコンテナへの切り替え

クラウドへ移行することが最初にやるべきことです。クラウド内にもう移行していても、アプリをコンテナで実行することが重要です。マイクロサービスモデルに移行すると、サーバインスタンスごとにハードウェアハイパーバイザとOSのオーバーヘッドがアプリのパフォーマンスを低下させます。マイクロサービスアプリケーションを拡張するには、コンテナにコードをパッケージ化する必要があります。コンテナ化すると全く新しいツールセットを使うことになります。たとえば、Kubernetesのようなオーケストレータを活用して、数千のコンテナを管理する必要があります。幸いなことに、コンテナ周辺のツール事情は昨今急速に成熟しました。今日、多くの世界クラスのアプリは、コンテナを使用して確実かつ安全に稼動しています。業界は、クラウドネイティブコンピューティングファウンデーション(CNCF)が認めた標準規格を整理統合しているところです。

分散データストア

インシデント管理でシステムを保護する

現代のマイクロサービスベースのコンテナ駆動型システムでは、多くのパーツがあり、これらのパーツはしばしばフェイルします。DevOpsの呪文の「早く進んで前向きに失敗する」とは、これらの失敗にすばやく反応し対処できる必要があることを意味します。パフォーマンスとセキュリティの両方が、オムチャンネルのリテールアプリの最大の課題です。サイバー犯罪者は多数のユーザーを持つアプリに引き寄せられますが、リテールアプリは名前、住所、クレジットカード情報などの価値のある重要なユーザーデータを数十億単位で持つことが知られています。システム障害やサイバー攻撃から守るには、データポイントを集中管理し、問題に応じて適切な対応者をリアルタイムで把握するインシデント管理システムが必要です。

大規模なDevOpsチームでは、重要な通知が失われる可能性があるため、適切なメッセージが適切な人に届くようにルーティングシステムが必要です。インフラストラクチャの複雑さが増し、大量のデータを処理する必要があるため、機械学習を活用してデータを理解し、重要なポイントに人々が集中できるようにするソリューションが必要です。オムニチャネルリテール向けのインシデント管理ツールは、システム全体にわたる監視、チケット発行およびその他のデータソースを相互に関連付け、集中化することができます。最先端のインシデント管理プラットフォームにより、疑わしいパターンを特定し、インシデントがエスカーレートする前に適切な人材を確保できます。

オムニチャネルのリテールは単純ではないので、完璧なシステムを構築するためには数年以上の時間が必要です。ただし、ここに記載されている方法とツールは、DevOpsチームにオムニチャネル体験を提供するための手がかりを与えることになります。クラウドへの移行、マイクロサービスの活用、コンテナの採用、データストアの分散化、またはインシデントの予見的な管理など、次世代のコンピューティングテクノロジーが今や利用可能です。リテールビジネスに必要なのは、計画を立て直す準備を整えた開発チームだけです。

book-markカテゴリー :DevOps